設備の劣化はエネルギー損失である——ESAによるエネルギー診断の考え方 | TRIPOD

設備の状態と、見えていないエネルギーコスト

設備の劣化は、停止のリスクだけでなく、余分なエネルギー消費につながる場合があります。ベルトの滑り、偏心、軸受や歯車の異常などを調べる際には、設備の状態と電力の変化を併せて確認することが重要です。ただし、異常があることと、追加損失を正確に算出できることは同じではありません。

電流・電圧から評価できること

ESA(Electrical Signature Analysis)は、電流・電圧の特徴から電源側と負荷側の状態を検討します。電流と電圧の同時計測により有効電力を求められますが、消費電力の増加を特定の故障部位の損失とみなすには、負荷、回転数、運転条件、健全時の基準などを確認する必要があります。

電流のみを測定するMCSA(Motor Current Signature Analysis)も異常の特徴を調べる手段です。有効電力の直接計算には電圧情報が必要であり、電流と機器情報等から算出する値は、前提を持つ推定値として扱います。電力と機械出力の比較による効率測定と、スペクトルを用いた状態診断も区別します。

追加損失を年間コストに換算する例

以下は換算方法を説明するための仮定です。特定設備の実測事例や、故障の進行予測を示すものではありません。

  • 追加損失:1.91 kW
  • 年間運転時間:6,000時間
  • 電力単価:25円/kWh
  • CO₂排出係数:0.453 kg-CO₂/kWh

この条件では、年間の追加電力量は1.91 × 6,000 = 11,460 kWh、電気料金は11,460 × 25 = 286,500円、CO₂排出量は11,460 × 0.453 = 約5.19トンとなります。

仮定する追加損失 年間電力量 年間電気料金 年間CO₂排出量
1.91 kW 11,460 kWh 286,500円 約5.19トン
2.30 kW 13,800 kWh 345,000円 約6.25トン
9.55 kW 57,300 kWh 1,432,500円 約25.96トン

運転時間、電力単価、排出係数は説明用の仮定です。実際の評価では、設備の運転記録、契約単価、適用する年度・電力供給者の排出係数に置き換えます。各行の損失値は故障の段階や進行速度を意味しません。

診断結果を省エネの検討に活かす

有効電力の変化、推定トルクの変動、電源品質、異常に関連する周波数成分を照合し、追加調査や保全の優先順位を検討します。故障部位ごとの損失や修繕効果を断定する前に、同等の運転条件での比較と、必要に応じた電力・機械出力の測定を行います。

ファン、ポンプ、コンプレッサーなどの回転設備では、保全とエネルギー管理を併せて検討できます。診断報告では測定値、推定値、換算に用いた仮定を分けて示し、費用や環境負荷の検討に役立つ情報を提供します。

参考:HIOKI:効率・損失の測定(入力・出力の比較)。

関連情報・ご相談

電力や負荷の変化を評価する際は、生産量、運転条件、測定範囲をそろえて比較します。

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