電気信号解析技術(ESA)の適用範囲と診断価値 | TRIPOD

ESAで診断できる設備の範囲

電気信号解析技術(ESA)は、3相交流の電動機・発電機と、それらに機械的に接続された多様な設備に適用します。適用可否は、機器形式、負荷・回転速度、駆動方式、測定点、信号品質に基づいて確認します。モーター単体だけでなく、機械的に接続されたポンプやファンなども評価対象となります。

実際の適用実績として、以下のような設備での診断が行われています。

  • ポンプ類:給水ポンプ・水中ポンプ・真空ポンプ・偏心ねじポンプ・マグネットポンプ
  • 送風機類:燃焼用送風機・冷却送風機・誘引送風機・遠心送風機
  • 圧縮機・攪拌機:コンプレッサー・サイクロ減速機付攪拌機・遠心分離機
  • 発電機:風力タービン用誘導発電機・同期発電機

インバーター制御設備・直入れ始動設備のいずれにも対応しており、小容量から大容量まで幅広い設備に適用可能です。

検出できる異常の種類

ESAが検出できる異常は、電動機内部・動力伝達系統・電力品質・プロセス異常の広い範囲に及びます。

電動機内部の異常

  • 軸受損傷(外輪・内輪・転動体)
  • 回転子バー破損(かご形誘導機など、該当する構造の機器)
  • 電流・電圧に現れる固定子巻線異常の兆候(絶縁状態の確定には専用試験も検討)
  • 主軸偏心

動力伝達系統の異常

  • 歯車装置の異常(欠け・摩耗)
  • ベルト振動(張り・滑り)
  • アンバランス・ミスアライメント

プロセス異常

  • キャビテーション
  • 負荷変動

※共振については、構造系に起因するものは振動解析との併用診断を推奨します。

ESAの特徴は、制御盤で取得した電流・電圧から、電動機や接続設備に現れる複数の異常兆候を評価できることです。複数の異常がある場合は、特徴周波数、信号の大きさ、電流・電圧の対応、運転条件を照合して原因を検討します。成分の重なりや制御・ノイズの影響により、追加の測定や他手法との併用が必要な場合もあります。

TRIPODの診断実績

株式会社TRIPODは2024年10月の設立以来、化学・石油化学・廃棄物処理・インフラ・風力発電といった分野において、30台以上の回転機械に対してESA診断を実施しています。

診断の結果、軸受損傷・歯車異常・偏心・ベルト振動・回転子バー破損など、多様な異常が検出されています。一方で、正常と判定された設備も複数あります。「異常が見つからなかった」という結果もまた、設備の健全性を定量的に確認する重要な診断価値を持ちます。設備の状態を数値として記録することで、次回診断との比較による傾向管理が可能になります。

正常確認の価値

設備診断の目的は異常の発見だけではありません。「今回の測定条件と評価対象の範囲では、異常兆候を認めなかった」という結果を記録することも重要な診断価値です。この評価は、すべての故障が存在しないことや、今後の故障が起きないことを保証するものではありません。

定期的にESA診断を実施し、正常時のベースラインデータを蓄積することで、将来の微小な変化を早期に検出できるようになります。一回の診断で判断するのではなく、複数回の診断結果を時系列で比較する傾向管理が、予知保全の実効性を高めます。

診断価値——予知保全サイクルへの統合

ESAによる診断は、設備保全サイクルの中で以下のように機能します。

運転中の設備に対してESA診断を実施し、異常の兆候を早期に検出します。異常が検出された場合、その部位・種類・進行度を評価した上で、計画的な点検・修理のタイミングを判断します。処置後に再診断を行うことで、修理の効果を定量的に確認します。この一連のサイクルを繰り返すことで、設備の計画外停止のリスクを低減し、信頼性の高い生産体制を維持することができます。

EMPATH™は、設備の運転中に60秒以内でデータ取得と自動解析(一次解析)を行います。接続準備、エンジニアによる最終判断のための解析、報告に要する時間は含みません。短時間の収録は定期測定に活用でき、設備の重要度と故障モードに応じて測定周期を設定します。診断頻度を上げることで、異常の進行を見逃すリスクを低減できます。

関連情報・ご相談

適用範囲は、設備構成、信号の取得点、運転条件によって異なります。診断目的に合う方法をご案内します。

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